フェルミ推定



フェルミ推定(Fermi estimate)とは

フェルミ推定とは、正確な値を得ることや実際に調査することが困難な数量を、いくつかの手掛かりとなる情報や値を元に論理的に推論し、短時間で概算することです。

物理学者エンリコ・フェルミがこの類の概算を得意としたことに由来して名称されています。


フェルミ推定は、理工学の分野において「オーダーエスティメーション(order estimation)」と呼ばれます。

複雑な現象を簡単な物理モデルに置き換え、近似式や既知の情報を元に、有効数字1~2桁程度の概算値の見積もる手法です。


シカゴのピアノ調律師

フェルミ推定の問題として、フェルミがシカゴ大学の学生に対して出題した「アメリカのシカゴに何人のピアノ調律師がいるか」がよく知られています。

この問題では、まず概算するために以下のデータを仮定します。


これらの仮定を元に次のように推論します。

以上から、調律師の人数は10万/750=130人程度と推定します。


フェルミ推定の回答について

フェルミ推定では、唯一絶対の正解を導くことはできません。

フェルミ推定は、前提となるいくつかの仮説を掛け合わせて算出することであり、分かっていることから分からないことを概算します。

つまり、前提となる仮説が不明な場合、問題を解くことができません。


例えばシカゴのピアノ調律師問題では、まずシカゴの人口がわからないことには上記の解法を組み立てることはできません。

そもそもピアノに調律作業がなぜ必要なのか知らない場合には、前提を立てることが困難となります。

フェルミ推定では問題をいくつかの要素に分解して考えるため、分解しても値や情報が不明であれば推定を実行することはできません。


また、フェルミ推定は証明が困難なことに使われるため、前提となる仮説の確かさが度外視される可能性があります。

利害関係者は自身にとって都合の良い論理を持ち出して説得しようとする可能性があります。


フェルミ推定は、すでに判明している前提条件から仮説を立てて、掛け合わせることで不明点を概算します。

なので、一つの問題を多角的にさまざまな面から複数の説を考えることが、答えの精度を上げるためには必要なこととなります。


フェルミのパラドックス

フェルミのパラドックスとは、エンリコ・フェルミがフェルミ推定を使って提出した、地球外文明の存在の可能性と地球外文明との接触の証拠が皆無である事実の間にある矛盾のことです。

つまり、宇宙には無数の星が存在しているので、地球以外に知的生命体が存在することは不思議ではない。にもかかわらず、今なお地球外生命体の存在を確認できないという矛盾のことです。

推定の仮説として以下のパターンが挙げられます。


ドレイクの公式

ドレイクの公式とは、地球外知的生物が通信をしている確率をフェルミ推定によって推定値を求める公式です。

電波天文学者フランク・ドレイクが1961年に公式を提唱しました。

N=R x fp x ne x fl x fi x fc x L

N :銀河系にある通信するETCの数
R :銀河系で1年に星が生まれる率
fp:惑星を持つ恒星の割合
ne:惑星を伴う恒星のうち、生命が維持できる環境を持つ惑星の数
fl:生命が維持できる惑星のうち、実際に生命が育つ割合
fi:その惑星のうち、生命が知的能力を発達させる割合
fc:そのうち、恒星間通信ができる文化が発達する割合
L :そのような文化が通信を行う期間の長さ 


関連ページ



スポンサード リンク